パースのご依頼から、図面と仕様からコンセプトを練ってプレゼンシートを制作したらお喜び頂いたお話。
- PIANO 510
- 5月10日
- 読了時間: 4分
更新日:5月11日
今回のブログは「お客様にお喜び頂いたお話。」です。
内容は、ある建築事務所の方からの内観・外観パース制作依頼。
依頼時点では基本設計は完了しており、図面と使用予定の仕上げ表も提供頂きました。
その後、少しお話をお聞きしておいた方が良さそうな内容でしたので、お電話で「クライアントの方とのお話やどんな雰囲気にしたいか」等お打合せの内容をヒアリングさせて頂いていると、今回のクライアント様から「プレゼンテーションを良いモノにしたくてパースをこの度ご依頼させて頂いたのです。」と仰って頂きました。
せっかくのパースでビジュアライズするならこの図面やお客様同士の話の根底にあるデザインコンセプトを視覚化したら分かりやすくまたより面白く良い空間の打合せに役立つのでは?と思いお電話でのメモを整理しながら、普段からご相談頂くクライアント様ということもあり、こっそり内緒で勝手(笑)にコンセプトを考えてみました。

■ 図面とマテリアルから、設計意図を逆算する。
通常であれば、図面通りに3Dモデルを起こし、アングルを決めてレンダリングしチェックフィードバック修正を経て納品は完結します。
しかし今回は、設計図と仕上げ表を読み込む中で、「これは一貫した空間思想の表現」をコンセプトとしてプレゼンした方が喜ばれるのでないかと思ったからでした。
素材の組み合わせや空間や魅せ方を考えるとコンセプトがあったほうが空間も引き締まると感じお作りしました。たかが3枚のコンセプトシートですがないよりもあったほうが分かりやすいならお作りした方が面白いのではないかと思いました。
そこで単にCGを作るのではなく、設計の論理を外から補強するようなコンセプトシートを、オファーされていなかったのですが独自に構成することにしました。
まずお使いになるマテリアルの簡単な情報と歴史や利用例を載せる事で材質選定の理由の補強や空間構成のデザイン補強に「私がデザイナーだったら作る」と思ったものでした。

■ 設計者が言語化していない意図を、図面から読み取る。
このコンセプトは、施主の方の要望や抽象的なイメージのお話や設計図面と仕上げ表に記された構成要素から、設計者の方がどのような発想・価値基準で空間を構成したかを推察し、整理したものであるので外れてしまえばお蔵入りかなと思い、少しでも役に立てば面白いかもしれないくらいでおまけで作ったモノです。
ただ選定されている素材等を見ると言葉にした方が図面や空間のお客様への説得力が増しクライアントの方も喜ばれるのではと強く感じました。
整理した言葉と図でシンプルに整理したただのコンセプトシートでしかないのですが、CGや図面内容を裏づけるための図解としてはとても分かりやすくなったかと思います。

■ プレゼンに活用され、設計意図の補足資料として高評価。
お客様にお喜び頂いたお話。
提出させて頂いたコンセプトシートは、当初依頼外のものでしたが、クライアントの方からは「お施主様への説明がしやすくなった」「社内でもこの図があると意図が明確になる」との反応があり、結果的にプレゼン資料として採用されました。
意図していたのは、設計者の方の立場を補助すること。その役割が今回、結果として機能して本当に良かったです。次からのご依頼はコンセプトシートの制作もご依頼頂くようになりました。私も建築士でデザイナーでもあるので要望以上にできるポイントの向上はやはり意識してしまいますが、今回は本当にお喜び頂き私もとても良い経験をさせて頂きました。
■ 最低限の依頼内容でも、
設計の背景まで見るかどうかで仕事の質が変わる。
与えられた図面に対して、単に形をなぞるのではなく、構成を読み解き、設計思想を外部から言語化・図式化することは、設計支援としての本質的な付加価値になるのではないかと思います。
余計なおまけ以上ではないのですが、求められた最低限の作業だけで終わらずにそれ以上の何か面白そうなお役に立てる視点を持ち込んで制作するのはデザイン作業ととても似ていると思いました。CG制作という立場であっても、そこに設計的な視座を加えることで、仕事の意味はまったく変わってくるのかもしれません。
また機会があれば何かお役に立てる+αをご提案していきたいと思います。