top of page

私のデザインの源泉。ー都市を数値で見ていた人間が、なぜ空間をデザインするのかー

  • 10 時間前
  • 読了時間: 6分

私のデザインの源泉。

ー都市を数値で見ていた人間が、なぜ空間をデザインするのかー



文京区・台東区をメインに建築士事務所を開設し、これまでの経歴と、その時々に考えてきたことを少し整理してみました。私のデザインの源泉について。



私の出発点は建築ではなく、土木でした。


大学では都市計画を専攻し、卒業研究のテーマは「駅周辺開発と都市の魅力の相関分析」といった内容でした。商業施設の小売データや駅の来場人口を数値として扱い、都市の引力を客観的に読み解こうとしていました。もともとデザインがやりたかったのですが、当時いた場所は土木の世界で、だからこそ数値や構造、インフラのスケールで物事を見る目が自然と育ったように感じます。それは今も自分の中に静かに残っています。


意匠へ、右も左もわからないまま


どうしても建築の意匠設計がやりたくて、日本の意匠系大学院に編入しました。右も左もわからない状態でしたが無事試験はパスしましたが今までに設計するという経験がなく、形にする怖さというのを初めてそこで知りました。それでもひたすら手を動かし続け周りの人々にも助けてもらいながら、少しずつ手が養われ、目が養われていきました。欲しい結果があると人は焦ってしまいがちですが、そこで学んだ最もよかったことは淡々と粛々とやり続けることの重要性だったように思います。

住宅設計時のイメージスケッチ

住友林業で学んだこと、クライアントを見るということ


大学院を出て住友林業に入り、7年間、様々なお客様の住宅から店舗を設計させていただきました。時にはお医者様や経営者の方々等の住宅までを設計する機会を頂きました。

住宅設計はその人の人生を背負う仕事です。一番最初のお客様の時ですが、顔には出しませんでしたが最初は本当に怖かったことを覚えています。それでも何ができるのか、どういったことを本当に求めているのかといった事に意識を集中し、今何が必要か、どんな生活のリズムか、家族の過去と未来、実現したいことは何か。そういった意識を建築士として持ち、デザインに落とし込むように日々反復していたように思います。住宅設計の進め方は二人三脚、三人四脚といった後から様々な人が加わり一緒に走るようなプロジェクトだと思います。


また当たり前ですが大型施設の設計とはスケールがまったく異なります。住宅のスケールはオーダースーツのように、その人にしか合わない形を目指す仕事だと思っています。目新しい目立つようなデザインではなく、自分のかっこいいを押し付けないクライアントの方が必要としているもの、あったらよいなと感じるものを追加・整理しながら空間を構成していく。デザインをしたいなら、まずクライアントのその【人】を見ること、というのが住宅設計で身についた感覚です。


打ち合わせはいつも楽しくやっていました。工事になればクライアントの方から見れば知らない業者の方々が何人も関わってきます。そういう人たちが増えるほど、「この家はよくなっていきますよ」、とクライアントの方には伝えるようにしていました。


設計だけではなく、リードできる部分、他の協力業者の方々が一緒に笑顔で仕事ができるような環境づくりも重要で、クライアントの方からすれば住宅の購入や新築はナーバスになりやすい場面かと思います。そんなクライアントの方に少しでも良い思い出にしてほしいという気持ちからでした。



単純から複雑へのデザインプロセス

ロンドン、AAで考えていたこと


住林を辞め、英語を学び直してからロンドンのAA School、Design Research Lab(DRL)に進みました。

ここで学んだことの核心は「複雑なデザインをしたいなら、シンプルな原則を繰り返しながら複雑化させていく」ということでした。

あまりいろいろ書くとわかりづらくなる気がしますので簡潔に振り返ると、モノを解体して構造を理解する・それをデザインの行為としてやっていく。

根気が必要で、焦ってはいけないといった手法をしらみつぶしに行っていく、そんな一歩一歩のプロセスを体系として学べるような場所だと思います。

3次元の空間をどうファブリケーションするか、形の論理をどう組み立てるかといったそういう思考の訓練をしていました。

なかなか日本とはまた異なる教育体系だと感じさせられました。



海外大型施設の3Dによるデザイン

大型施設と3Dで気づいたこと


帰国後、組織設計に参加し大型の海外施設案件で3Dとデザイン検討に携わりました。

やはり大きいものは3Dで見せながらでないと、クライアントの方も設計者も本当の形を把握しにくいと感じています。

住宅や小規模の案件と違って、大型施設は3Dで見せながら徐々に詳細を詰めていくステップが多くなります。そのプロセスを丁寧に積み重ねられるかどうかが、最終的な空間の質に直結するように思っています。

土木で培った数値とスケールの感覚、住宅で磨いたクライアントへの視点、AAで鍛えた空間の論理、そして3Dとビジュアライズの技術。それらが今の自分の仕事にそれぞれつながっています。



デザインの源泉について


私は自分を定義するときにデザイナーであり、建築士であり、クライアントの思考を整理する役割でもある、というのが自分の仕事の捉え方です。


それでもこれまでの経験で得たものから自分が関わる全てのプロジェクトに個人の人生を背負うほどの責任感と同様のもので対峙することで自分はデザイナーだという責任感を持っているのだと思います。


一つ一つ丁寧に淡々と粛々と、クライアントのためになるように遠回りでも必要ならまわるように、その結果が今の自分を作っているように感じています。



Why Someone Who Once Read Cities Through Numbers Designs Space

The Source of My Design


English follows Japanese


My starting point was not architecture — it was civil engineering. At university, I studied urban planning. My graduation thesis examined the correlation between station-area development and urban vitality, analysing retail data and pedestrian traffic to decode the "gravity" of a city. That background quietly shaped the way I look at things — through numbers, structure, and the scale of infrastructure.


Into Architecture, With No Map


Determined to pursue design, I transferred to a graduate programme in Japan. Having no prior experience in architectural form, the fear of "giving shape to ideas" stayed with me. Yet, I kept moving my hands. Through persistent effort and the support of those around me, my eyes and hands slowly matured. I learned the vital importance of moving forward steadily and quietly, without rushing for results.


What Sumitomo Forestry Taught Me — Learning to See the Client


I spent seven years at Sumitomo Forestry, designing homes for a diverse range of clients, including business leaders and medical professionals. Residential design is like bespoke tailoring; it is about carrying a piece of someone’s life. It isn’t about imposing an architect’s ego, but about focusing on the rhythm of the client’s life — their past, future, and the things they want to make real. I learned that to design, one must first truly see the "person."


What I Was Thinking in London, at the AA School


After leaving my role in Japan, I studied in the Design Research Lab (DRL) at the AA School in London. The core of my learning there was this: "To produce complex design, build complexity by repeating simple principles." I trained myself in the logic of form and 3D fabrication — dismantling structures to understand them and reconstructing them as a design act. It was a rigorous education in patience and spatial logic.


What Large-Scale Projects and 3D Work Revealed


Upon returning to Japan, I worked on 3D modelling and design development for large-scale international facilities. At this scale, the ability to refine details through 3D visualization is directly linked to the quality of the final space. My journey — from the numerical scale of civil engineering to the client-focused lens of residential work and the spatial logic of the AA — converged through these visualization technologies.


On the Source of Design


I define my practice as being a designer, an architect, and a facilitator who organises a client's thoughts. I approach every project with a profound sense of responsibility. One step at a time, carefully and quietly, for the benefit of the client. I have come to feel that the detours I have taken are exactly what have shaped the designer I am today.


Architectural Solutions Design Office /二級建築士事務所

bottom of page