契約前の内装デザイン提案で大切にしていること|合意形成を支える空間整理の進め方
- 6月7日
- 読了時間: 5分
更新日:7月8日
投稿日:2026/6
契約前の内装デザイン提案で大切にしていること|
合意形成を支える空間整理の進め方
最近お引き受けする機会が多いのが、プロジェクトの最も初期段階、いわゆる「契約前」や「基本設計」のフェーズでのSpecial Design Supportです。
契約前のデザイン提案とは、内装設計やリノベーションプロジェクトにおいて、設計契約前の段階でコンセプト整理や空間の方向性を検討するプロセスです。
ASDOでは、ヒアリング・事例・ご要望調査・コンセプト立案・空間整理デザイン・3D可視化を通じて、関係者全員が同じ方向を向ける状態づくりを支援しています。
多くの場合、クライアントの方の手元には「やりたいことの断片」や「大まかなプラン」がすでに存在しています。しかし、それがまだ形になっていなかったり、関係者の間で意見が分かれていたりして、その先へ進めずに足踏みしているケースが少なくありません。
そんな初期段階の提案で、私がいつも大切にしているのは、空間を美しく見せること以上に「なぜその方向性なのか」の理由を一つずつ紐解き、なぜ新しいデザインが必要なのか、どのようにデザインすることが大事なのか、新しい空間にすることで何を達成したいのかといった整理した情報を関係者全員で共有するプロセスです。
東京の建築デザイン事務所ASDOでは、単に空間を“綺麗に見せる”のではなく、
「誰に」「どんな心理変化を与え」「どう意思決定していただくか」
まで含めて、設計初期から空間整理を行っています。
図面化前のヒアリングやコンセプト整理、3Dを用いた方向性検討をどのように進めているのかは、こちらの記事でも詳しくまとめています。
契約前の内装デザイン提案で大切にしていること。
最近お手伝いした4つの実務を例に、具体的な進め方をお話しします。
ケース1:オフィス内装デザイン提案|アイデアを空間として成立させる

クライアントの方の中に「やりたいイメージ」や「大まかなプラン」は出来上がっているものの、それを実際の空間に落としたときに、デザインとしてうまくまとまらないというご相談でした。 今回ご依頼のオフィスデザインは元の意図を丁寧に汲み取りながら、空間としてのクオリティと機能性を担保できるデザインへと整理。3Dで視覚化することで、イメージを破綻させずに現実の空間へと着地させました。
ケース2:工場リノベーション提案|複数案を比較して方向性を整理する
(約300㎡の既存工場リノベーション)

社内でデザインについてお悩みになられていらっしゃいましたクライアントの方からのご相談を頂きました。ヒアリングをもとになぜ新しい空間が必要なのかという問いから、どのような利点と利用方法があるのかをコンセプト化していき、方向性として「重厚さを重視したA案」と「軽やかやなデザインを重視したB案」の2つをプランからデザインした内装案として用意し、方向性が定まっていなかったプロジェクトに可能性を検討していただきました。 いきなり一つの完成予想図を作り込むのではなく、それぞれのデザインしたプランを3Dで可視化し、メリット・デメリットをニュートラルに比較できる状態を作りました。打ち合わせを重ねる中で、双方の長所を融合させた「統合案」へと発展。クライアントの関係者全員の方が納得してご契約へ進むことができました。
ケース3:クリニック内装デザイン提案|デザインの理由を言語化する

すでに図面(プラン)はあるけれど、「どんな内装デザインにするか」「なぜそのデザインでなければならないのか」というストーリーが弱く、合意形成のための決め手に欠けているという状況でした。 ここでは、ターゲット層の心理やクリニックのコンセプトから逆算して、デザインの理由をロジカルに整理。さらに「どのような順番で説明すれば、相手に最も深く響くか」という説明の流れを一緒に組み立てることで、無事に契約へと繋がりました。
ケース4:マンションエントランス改修提案|商品化を見据えたプロトタイプ設計

既存の延長線上の提案では、住人の方々に「良くなった」と実感してもらうには弱い、という課題がありました。 そこで、これまでの要素を一度リセットし、女性の方に選ばれる賃貸マンションとしての今後の標準仕様(商品化)も見据えたプロトタイプデザインをコンセプトから構築。言葉のコンセプトシートだけでなく、デザインした空間を3Dアニメーションを体験していただき「プレゼン戦略による魅せ方の流れ」まで含めてご提案し、関係者様の深い納得感を生み出しました。
面図だけでは整理しきれない部分を補うため、ASDOでは日常的に3Dを用いた空間整理や視覚化サポートも行っています。「図面はある。でも、その先の空間デザインがまだ固まらない」という方向けに、Spatial Design Support(SDS)についてこちらで紹介しています。
空間を美しく見せること、その先にあるもの
これらすべての仕事において、私が最も多く時間を使うのは3Dを作ることではありません。
課題を整理すること。
3次元でプランニング・レイアウトを検討すること。
関係者の方々が同じ方向を向ける状態をつくるためのプレゼン戦略を練ること。
3Dパースやアニメーションは、そのための手段のひとつに過ぎません。
最初はお客様の手元でバラバラだったアイデアや要望が、一つずつ整理され、形になり、「この方向性でいこう」と全員が確信を持って次のステップへ進めるようになる。
そのための足場をしっかりと組むことが、私が契約前のデザイン提案で最も大切にしていることです。
よくある質問
Q. 契約前のデザイン提案では何を行いますか?
A. ヒアリング、コンセプト整理、レイアウト検討、3Dによる方向性確認などを行います。
Q. まだ図面がない段階でも相談できますか?
A. はい。ASDOでは図面作成前の空間整理から対応しています。
Q. 3Dパースは必須ですか?
A. 必須ではありませんが、関係者間の認識共有に有効です。

